天ぷらに合うワイン

ランチに行列のできる天ぷら店に行きました。

オーダーしたのは天ぷら定食

 かぼちゃ、茄子、キノコ、キス、エビ穴子、穴子の天ぷらです。

今日はランチなのでお酒は抜きでしたが、
もしワインを頼むんだったら何をオーダーするか想像してみました。

「天ぷら」と「ワイン」のペアリングの一般的な理由

 多くの店は、天ぷらのワインとのペアリングについて、 次のように述べています。
 「天ぷらは揚げ物なので、 油っこさを洗い流してくれる酸のキレがある 白ワインやロゼワイン、スパークリングとペアリングさせる」と。
 このように「油っこさを流す」という点が 強調されることがあるようです。
これは間違いではないと思いますが、 一面にしか過ぎないと私は考えています。
 ワインと料理には、もっと多様な相性があります。

 

ペアリングの基本

 9月上旬に、私は日本ソムリエ協会の認定講師としてワイン検定試験を実施し、その中で ワイン検定 (ブロンズクラス)の内容を講習しました。

 ブロンズクラスのテキストには、 料理とのマッチングの具体例を写真で載せています。(下の写真)

 

天ぷら(野菜や魚介類等) には、

 「すっきりしたスパークリングや白(辛口)」
 「酸軽やかで酸味豊かな赤(辛口)」

が合う、と記載しています。

 受講の皆さんの関心事は 「なぜ、このペアリングなんだろうか?」 ということでした。

 ワインと料理とのペアリングのポイントの一つは「同調」です。
ワインと料理に共通した香味の特徴を合わせて、 釣り合いの取れた味わいにする ということです。

 まず、料理の食感、香り、味わいを考えてみます。
この食感、香り、味わいについて同じ方向の特長のワインを添えることで、 料理をより美味しく戴くことができようになります。
それが、ペアリングの基本です。

 

 

ペアリングの具体例

 もし、料理全体を通して一種類のワインでなく、
個々の天ぷらに合わせたらどんなワインが良いかを考えてみました。

 食卓上で多種類のワインを一斉に揃えることは現実的ではないですが、
「もし選べるとしたら」で、造られているワインのブドウ品種を 想像してみました。
皆さんがそうだ!と思えば参考にして下さい。

 

〇食感から

天ぷらのサクサクとした食感には、
コテっとした味わいより、爽やかなワインが合いそうです。
    ⇒ スパークリング:シャンパンやカバ


 すべての天ぷらにこのサクサク食感は共通ですから、スパークリングワインはオールマイテイです。

〇香りや味わいから

   風味は、天ぷらの衣そのものはともかく、食材ごとには差がありますね。
  白ワインは天ぷらに合う定番ですが、様々な品種のワインがあります。
  もし、スパークリングワイン以外の白ワインで選ぶとしたら…

●天ぷらの衣(関東風の場合)には

  天ぷらの衣の香りやほの甘さと旨みには 、あっさりしたワインも良いですが、
少し熟成させた味わいのワインがさらに天ぷらの旨みを高めます。
   ⇒ 例えば、樽香のあるシャルドネ
     シュールリーした吟醸香のある甲州も良いでしょう。
        ・・・関東風は卵や胡麻油を使っているので香り・旨みを合わせます

●素材ごとに

  ①かぼちゃの天ぷらには・・
    かぼちゃの甘味を引き立てる、少しだけ甘味のあるワイン
    ⇒ リースリング・・・お寿司に合うリースリングをてんぷらにも。半辛口タイプ

  ②茄子・キノコの天ぷらには・・
    ワインのフレッシュな香りと苦味のワインが、
    サクッとした食材の美味しさを引き立ててくれます。
    ⇒ ソーヴィニオン・ブラン・・・フランス・ロワール産にマッチします

   ③キス・海老の天ぷらには・・
    酸味とミネラルのバランスが良いワインが、海の幸に似合います。
    ⇒ グリューナー・ヴェルトリーナー・・・オーストリアの主要ワインです
      アルバリーニョ・・・スペイン、ポルトガルの「海のワイン」です

   ④穴子の天ぷらには・・
    鰻ほどでなく、ほどよく脂が加わった、あるいは、あっさりした穴子の ふわふわの食感は、
   タンニンが強くなく、天つゆの出汁・醤油の旨みに寄り添います。
     程よい酸味を持つ優しい赤ワイン ←白ではなく赤です
     ⇒ ボジョレーヌーボー(ガメイ)・・・11/17解禁。もうすぐです
      カベルネ・フラン・・・通称「調和のワイン」です。

     私の好みも入っていますが、私ならこのように選びます。

 

〇合わせる調味料に置き換えて考える

  また、私はワインを考えるとき、素材の風味をより引き出す調味料を考えてみて、
 同じ方向のワインを想像してみます。

 「調味料をワインに替えるとしたら、何か?」と。
 刺身には醤油、マグロにはわさびを添えますね。

●テーブルには、3種類の「塩」がありました。
  沖縄の天然塩 で、「カレースパイスを加えた塩」「胡椒と旨み調味料を加えた塩」「素の塩」

それぞれのタイプの塩をワインに置き換えると
「素の塩」=アルバリーニョ
      …スペイン北部・ポルトガル。「海のワイン」です。
「スパイス分を加えた塩」=ゲヴルツ・トラミナール
      …正にゲヴルツ=スパイスの意

  調味料は料理をより引き立たせるためにあるものです。
  ワインも同じく料理を引き立たせます。

●また、大根おろしを添えた「天ぷらつゆ」があります。

  「旨みのある天ぷらつゆと大根おろし」はワインに置き換えると
   =甘辛のリースリング・・・甘~辛の幅が広いリースリングから
   =熟成を経たシャルドネ・・・吟醸香が程よいもの。旨みを引き出します。
                     シャルドネは白ワインの王道です。  

  このように料理とワインの香りと味わいは同じ方向です。

  少し欲張っていろいろなワインを挙げました。
これに特定、という訳でなく、一つ、二つのワインに絞っても Better Choiceで美味しく戴けます。
参考にしてみて下さい。

 

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