臨界期

作家は早生まれの人が多い ③脳科学からみて&作家以外は?

早生まれを考えるシリーズ 3

  前回のブログで、早生まれの子供は学年で見ると心身の発達にハンディがありがちという例を見てみました。

 しかし、逆に早生まれであるがゆえに、メリットがあるという視点があります。
脳科学の知見によれば、子供の言語・運動・音感・数学的能力の獲得に関しては「臨界期」というものがあります。

臨界期とは

 「人間の脳には学習するのに適切な時期があり、その時期を過ぎると能力が身に付きにくい」という考え方です。
 脳の中で神経回路が集中的に作られたり、その回路の組み換えが活発になったり、最も「感性豊かな時期」を指します。
 各機能の臨界期は、一生に一度しかありません。
この時期に様々な刺激を受けることは、その後の発達に大きな影響を与えます。

臨界期

 言語には9歳まで、運動・音楽・数学的能力には4歳までに適切な刺激を受けないとその後どれだけ努力しても能力が付きにくいというのが、脳科学の考え方です。

 音楽は4歳から始めるのと5歳から始めるのでは、脳に与える影響が違う。また、音楽の能力だけでなく言語脳の大きさまで変わってくるということがわかっています。

 このように、幼少期に、脳が早い段階で少し上の刺激を受けるということが、能力獲得のためには重要です。

 早生まれの子供は、数カ月早く生まれた同学年の子供より早い時期から刺激を受けるので、能力が付きやすいということがあるのです。

幼少期における周囲の環境

 ただ、早生まれの子供の幼少期における、刺激を与える周囲の環境がどうであるかが大事です。
周囲に肉体的・精神的に少し成熟した人がいて、その環境下で子供が刺激を受けることで、感受性が豊かになります。

 適切な周囲の環境にいる早生まれの子供は、遅生まれの子供より「早い時期」から様々なものごとに興味をもち、感受性が豊かになります。
周囲に対して劣等感を持ったままになるのか、周囲から刺激を受けるのか、周囲の環境次第とも言えそうです。

 知的な分野、特に文科系の分野で秀でた成績や作品を残す人が多いのは、成長の早い段階で脳が刺激を受けるからです。

スポーツは遅生まれが有利

 一方で、スポーツ全般では、早生まれが不利と言えます。
前回、カナダのアイスホッケーチームの事例を紹介しましたが、幼少時には同じ学年内で最大で1年近い年齢差があるため、早生まれの人は体格や体力の違いにより運動面はデメリットが生じることがどうしても多いものです。

 スポーツやかけっこなどの競争では遅生まれの子が有利になるため、勝負ごとに勝つという成功体験が遅生まれの子供には多くなります。
その結果、「自分は周囲より優れている」という自信と満足感が蓄積されてゆき、子供はスポーツにのめり込みやすくなります。
プロ野球界では早生まれが14%なのに対し、4~6月生まれの遅生まれは38%というデータもあります。

 このように、知的な分野とスポーツ分野では様相が違っています

作家以外でも同じことが言えるのか?

 ところで、作家以外にも言葉など文科系的素養を基盤にしている職業は様々あります。
政治家、弁護士、ジャーナリスト、演出・脚本家、作詞家、漫画家など。
脳科学の知見を当てはめれば、早生まれの専門家が多いかもしれません。

 そこで、政治家のデータがありましたので実際に調べてみました。
公開されている政治家2793人の政治家についてです。

 分析したところ、早生まれは810人(29%)でした。出所はこちら

 作家の31%より若干低かったですが、期待値の25%よりも少し高い29%の結果でした。政治家でも早生まれが多いことがわかります。

政治家の生まれ月別人数グラフ

 今回は作家について、早生まれが多い事実とその理由について考えてみました。

如何だったでしょうか・・・。
皆さんはこの事実をどう考えますか?

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