作家は早生まれの人が多い ②実例と分析

作家は早生まれの人が多い ②実例と分析

生まれ月を考えるシリーズ 2

 前回、作家は早生まれ比率が比較的高いことを、統計で実証しました。
これまでも早生まれの作家について取り上げられたことがあったでしょうか?

 調べてみると、野球やサッカーなどスポーツ選手の早生まれが損か得か、
という話題は数多く取り上げられていますが、作家は取り上げられることが少ないようです。

 それでも、2つほどの話題がありました。

作家・角田光代さんの体験

 2004年11月に「WEB本」の中の作家の読書道第37回に登場した「角田光代」さんが、
読書に目覚めたころの話として、次のように述べています。

角田 : 私は早生まれなので、保育園に行くとみんなよりも小さくて。
   他の子ができることもできなくて、うまく喋れなくて、
   おしっこが言えなくておもらしするような子だったんです。
   それで、他とのコミュニケーションは取れないけれど、
   本を開いていればとりあえず時間が過ぎる、
   ということを知って、読むようになったんです。

 

 作家・角田光代さんの語ったことは、 早生まれであるが故の劣等感が、 逆に豊富な読書経験に繋がり、
作家としての基盤を作ったということです。 体験記事は、こちら

産経新聞の記事

 2015年には産経新聞が 「芥川賞選考委員は9人で構成されている。
このうち実に8人が早生まれだ。 確率にして約9割を占める」 と報道しています。
報道内容はこちら

 このように、過去にも早生まれの作家について 取り上げられていました。

 いずれも早生まれをポジテイブに捉えている内容です。
しかし、必ずしも早生まれをが肯定的に捉える向きばかりでなく 、
むしろ不利に働くとの感じを持っている人が多いのではないでしょうか?

早生まれの子供の心身の発達は?

 一般的には、早生まれの子供は心身の発達にどうしても劣り、 劣等感を持ってしまいがちです。
  5,6歳までの成長の過程では、心身の発育には差があります。 

・ 身体が小さい
・行動が遅い
・言葉が遅い
・うまく伝えられない
・話すことの理解ができない
・遊びのルールが理解できない
・運動能力に差がある、など。

 

 小学校に上がるとクラスの中で比べられたり、順位を付けられる。
低学年のうちは、体が小さく、学習面や運動面でも 4~6月生まれの子供と比べると差があります。
 体格や行動・運動能力、理解力や会話力、感じる力、 においては1年の差は大きいものです。
自分で差に気が付いて劣等感を持ってしまいがちです。

 

早生まれをめぐるの米国の事情:『天才!成功する人々の法則』

  2008年、ベストセラー作家のマルコム・グラッドウェルが 『天才!成功する人々の法則』の中で、 早生まれの不利さを指摘しています。

(この本はどんな才能や技量も、一万時間練習を続ければ“本物”になる  「一万時間の法則」を提唱したユニークな本です。)

「欧米の一流スポーツ選手には日本の4月生まれにあたる9月生まれが多い。 すべての競争において相対年齢が高い者が勝者になる。」と。

 具体的事例として、カナダのアイスホッケー界事情を述べています。
「カナダのアイスホッケー界には1−3月生まれが多い。
カナダでは国の代表メンバーを9−10歳で選び始める。
基準は体が大きく、器用な少年。
年齢を区切る期日は1月1日なので、 1月の生まれた子供の方が12月に生まれた子供よりも体が大きく、 選ばれやすくなる。」
と優位性を説いています。
  裏返して言うと、早生まれは最も不利だと。 特にスポーツでは。

書籍・天才!

早生まれをめぐるの米国の事情:全米経済研究所の研究

早生まれの損得

 また、2017年には、 マサチューセッツ州ケンブリッジにある全米経済研究所の研究者は、 「9月生まれ(遅生まれ)の子どもたちは、 心身の発達、発育がクラス内で相対的に進んでいるため、 義務教育期間を通して文武に優れ、より良い大学に入学している」
という研究結果を明らかにしています。

 米国では、生まれ月によるハンディを解消するため、 早生まれの6、7、8月生まれの子を持つ多くの親が、 小学校入学を1年遅らせる選択をしている というデータもあります。
米国では、子供の生まれ月を考えた対応をここまでしています。

 

私の体験

 私の誕生日は3月です。 小学生の時は、朝礼で並ぶと背が低いので最前列。
教室での座席も前の列。 低学年の時は、国語の授業の内容が
なかなか頭の中に入ってこないことに 苛立っていた記憶があります。
周囲の子がわかっているようなのに、ぼくにはわからない・・。
そんな思いが積もっていくゆく時期がありました。

 そんな劣等感を払しょくしたのは、算盤(そろばん)でした。
親がそんな私に向いていそうな算盤塾に通わせたのです。
小学4年生から6年生まで習った算盤では当時の珠算1級を取得し、
市の大会でも「読み上げ算」で優勝できるレベルになって行きました。
今考えると、心身で劣っていた私には、算盤での成功体験が、
その後の高校・大学での勉強への自信につながっていったと思います。

 次回は、脳の発達を脳科学からみて、早生まれについて、
話を展開させてみたいと思います。

果たして、どうして早生まれは得になるのか?損になるのか?

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