シャルドネ

●シャルドネのイメージ・・・「シャルドネを良く知る」シリーズ①

「シャルドネを良く知る」シリーズ①

  このシリーズでは、シャルドネについて深堀りします。白ワインで最も人気のあるワインの一つですが、世界各地での違いがよくわかるようにシャルドネワインについて記載します。
 どんなブドウかどんなワインを造り出すか、世界各地で造られるシャルドネワインの生産地ごとの違い料理とのマッチングなどを回にわたって紐解きます。

シリーズ① 「シャルドネのイメージ
         ・・・今回

○シャルドネの生誕地・素顔は?
〇「白ワインの女王」は個性がない?
○たくましいシャルドネ
○「女優のような」シャルドネ
○シャルドネの親はピノ・ノワール、兄弟はガメイ

シリーズ② 「世界中で異なった姿を見せるシャルドネ、フランスは?

○風味は地域でこんなに変わるシャルドネ
〇樽やステンレスによる発酵・熟成でどう変わる?
〇フランス
・ブルゴーニュ地方
・コート・ドール
・シャブリ
・マコネ
・シャンパーニュ

シリーズ③ 「カリフォルニア、オーストリアのシャルドネの姿と風味は?

〇カリフォルニア
〇オーストラリア
○ワイン検定(ブロンズ)記載内容

シリーズ④ 「イタリア・チリ・日本のシャルドネの姿と風味は?

〇イタリア
〇チリ
〇日本
〇料理とのマッチング

シャルドネの生誕地・素顔は?

 ワインの愛好者でなくともその名を知らない人はいないほど知れ渡ったシャルドネ。

いったいどんな品種なんでしょうか?

シャルドネはフランス中東部のブルゴーニュ地方原産と言われています。ブルゴーニュのマコネ地区にあるシャルドネという村が原産とも言われますが、残念ながら証明はされていません。

 世界で最も人気がある白ブドウ種であり、栽培面積は世界5位(※2016年データ)で、世界中で栽培され白ワインスパークリングワインに醸造されているいる品種です。

 ブドウとしては小さめの円筒形の房、薄めの果皮、小粒の実が特徴です。早熟で、寒冷地にも適合することから、世界中のあらゆる主要産地で栽培されています。

 他のブドウ種にはシノニムという別名が地域ごとに付けられていることが多く、シャルドネも昔は同様に、土地ごとの呼び名もあったようですが、現在はほぼ世界中どこでも「シャルドネ」と呼ばれています。それだけ世界中で確立した名称になっています。

 ちなみに、「Chardonnay(シャルドネ)」はラテン語の “Cardonnacum = “Chardonアザミ)”の咲く場所” を意味しています。横浜にも「あざみ野」という地がありますが、この村ではアザミが咲き乱れる地だったのでしょうか?

ブドウ栽培面積

「白ワインの女王」は個性がない?

 主要なワイン産地では広く栽培されるシャルドネは、人気もあることから「白ワインの女王」と称されています。

多様な気候で育ち環境への順応性が高い点を、ネガティブに言えば、ブドウ自体には突出した「個性がない」と言えます。

 元々ぶどう品種としての個性的な風味が少なく、あまり味わいの特徴のない=ニュートラルな品種です。 しかし、ブドウ種として多様な気候・環境下でも栽培可能という点は長所です。その地域の気候や土壌(テロワール)を反映して、造り出されるワインを多様な味わいに変化させることができるという点は優れた能力です。

 さらに、醸造方法の違いによって出来上がるスタイルは様々です。
このようにテロワールや造り手の個性を色濃く反映できるユニークな品種と言えます。

シャルドネ

たくましいシャルド

 また、シャルドネは病気にも比較的強く、とても栽培しやすい品種といえます。
安定した収量が得られ、品質面からも収獲量面からも頼もしい存在です。

 土壌は粘土と石灰に覆われたブルゴーニュの丘のような粘土石灰質土壌を好むと言われていますが、さまざまな土壌にも適応します。

 ただ一点、栽培上の注意点があります。萌芽が早いため、春霜の被害にあうリスク。熟すのも早いので、温暖な場所で栽培する場合に、酸が落ちすぎないように収獲タイミングに注意が必要です。この点に留意さえすれば素晴らしいワインを生み出します。

「女優のような」シャルドネ

 このように幅広い地域で栽培可能で、比較的病害にも強いシャルドネは、一見華奢に見えて、とてもたくましい。女王でもあると同時に女優と称した方が相応しい品種です。

 独自の風味は少ないものの、栽培や醸造の方法によっては、「果実味」、「酸味」、「香り」といった風味を多様に変化させることができ、その柔軟性によってどのような味わいにつくっても美味しいワインになる、能力の高いぶどう品種です。

 シャルドネは、例えていえば、ーマの休日の「オードリヘップバーン」に重ねあわせてイメージします。 世界中の誰も注目する純粋な王女でしたが、ローマ市中の様子を知らず好奇心旺盛で、映画の中では、可憐さの中にも純粋無垢な仕草、快活さ、多彩な表情、記者謁見でのしなやかな対応などその魅力に惹かれる王女でした。

シャルドネの親はピノ・ノワール、兄弟はガメイ

ローマの休日

 カリフォルニア大学デービス校のDNA型鑑定結果によれば、シャルドネ種はピノ・ノワールグーエ・ブランという品種の自然交配であることが分かっています。 また、近年のDNA解析の結果、ピノ・ノワールとグーエ・ブランからは、ガメイ(ボージョレ・ヌーヴォーを造る黒ブドウ)やミュスカデ(フランスロワール地方の白ブドウ)、アリゴテ(ブルゴーニュ地方の白ブドウ)が生まれ、シャルドネとは兄弟姉妹であることがわかっています。

シャルドネの家系図
シャルドネ
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