オーストラリア・マーガレットリバー

カリフォルニア、オーストリアのシャルドネの姿と風味は?・・・「シャルドネを良く知る」シリーズ③

「シャルドネを良く知る」シリーズ③

 第3回目は第2回のシャルドネの風味について、「一般的な風味はどのようなものか」、「フランス各地の具体的な風味」について述べました。
 今回は、米国・カリフォルニア、オーストリアの代表的な地域の風味について紐解きます。
 シャルドネワインの選び方の参考にして下さい。

シリーズ① 「シャルドネのイメージ
         
○シャルドネの生誕地・素顔は?
〇「白ワインの女王」は個性がない?
○たくましいシャルドネ
○「女優のような」シャルドネ
○シャルドネの親はピノ・ノワール、兄弟はガメイ

シリーズ② 「世界中で異なった姿を見せるシャルドネ、フランスは?

○風味は地域でこんなに変わるシャルドネ
〇樽やステンレスによる発酵・熟成でどう変わる?
〇フランス
・ブルゴーニュ地方
・コート・ドール
・シャブリ
・マコネ
・シャンパーニュ

シリーズ③ 「カリフォルニア、オーストリアのシャルドネの姿と風味は?
            ・・・今回

〇カリフォルニア
〇オーストラリア
○ワイン検定(ブロンズ)記載内容

シリーズ④ 「イタリア・チリ・日本のシャルドネの姿と風味は?

〇イタリア
〇チリ
〇日本
〇料理とのマッチング

カリフォルニア

 カリフォルニア州におけるシャルドネの栽培面積は、フランスの2/3にも及ぶ3.7万haと最も多く裁培されています。
1960年にはわずか40haしか植わっていなかったと言いますから、60年余りの間に900倍にもなりました。
また、アメリカ合衆国の2016年の栽培面積が41,000haでしたから大変多くのシャルドネがカリフォルニアで栽培されています。

 今からおよそ47年前の1976年のパリ・テイスティングで、カリフォルニア産のシャルドネがフランスの一流ワイナリーにブラインドテイスティングで勝利し、世界を驚かせました。

 基本的には高い日照量から生まれる果実味豊かなスタイルですが、21世紀に入ってからはスタイルが多様化しています。
 以前はしっかりとしたボディでアルコール度数も高い、新樽風味が効いたリッチなスタイルが目立ちました。

 しかし、最近では、よりフレッシュな果実を得るために早めに収穫したり、樽使いを控えたりするなど、酸の引き締まったエレガント路線のワインも増えてきました。

ソノマ・コーストとナパ・ヴァレー

 ソノマ・コーストやナパ・ヴァレーといった太平洋沿岸部の産地では、凝縮度の高い果実風味と、オーク由来のバニラやトーストの香りが特徴ですが、特に海風と霧の影響を受けるソノマ南部のロシアン・リヴァー・ヴァレーやナパ最南端のロス・カーネロスなど冷涼な地域からは、最高品質のワインが生み出されています。

セントラルヴァレー

 しっかりとしたボディでアルコール度数も高い、ヘーゼルナッツやバターの新樽風味が効いたリッチなスタイルで比較的安価なワインが生産されています。

カリフォルニア・1976年のパリテイステイングのワイン(右:シャトー・モンテレーナ)
カリフォルニア ソノマ・ナパ
カリフォルニア ソノマ・ナパ

オーストラリア

 シャルドネはカベルネ、シラーズとともにオーストラリアの三大品種。シラーズに次ぎ栽培面積2位を誇り、オーストラリア全土の21,000haで栽培されています。

 広大な国土を持ち、冷涼~温暖な気候に恵まれるオーストラリアでは、テロワールが反映された様々なスタイルのシャルドネが栽培され、ひとつの国の中で多様なタイプの豊かなワインが生産されています

 果実味を活かしたフルーティーな味わいで、イラストを使ったわかりやすいラベルの安価なワインの一方で、個性的で上質なワインが多く造られています。

 樽の効いたリッチなスタイルが好まれた時代がありましたが、現在ではエレガントなスタイルへとシフトしています。主な産地は、以下です。

 南オーストラリアのアデレード・ヒルズやヴィクトリア州のモーニングトン半島、ヤラ・ヴァレー、タスマニアなどの冷涼な地域

 西オーストラリアのマーガレット・リヴァーのような温暖な地中海性気候の地域

 これらの地域では独自のテロワールに加え、MLF(マロラクティック発酵)、オーク樽での熟成、ステンレスタンクでの熟成を組み合わせて独自の風味を造り出しています。
例えばMLFをせず、オーク樽での一定期間の発酵・熟成後、ステンレスタンクで熟成させることで酸味を保ちつつ繊細で複雑な風味のワインに仕上げるなどシャルドネの特性を最大限に活かした造り方です。また、自然派ワインも増えています。

マーガレットリバー シャルドネ

シャルドネ(Chardonnay)・・・ワイン検定(ブロンズ)記載内容

どんなブドウ?

・小粒で果皮が薄く、緑がかった黄色の白ワイン用ブドウ品種の代表格で、フランスのブルゴーニュ地方が原産です。

・環境への適応性が高いため、冷涼な地域から温暖な地域においても良質なワインを造ることができることから大変人気があり、世界中のあらゆる産地で栽培されている品種で。「白ワインの女王」と称されています。

・シャルドネはピノ・ノワールとグエ・ブランの自然交配により誕生しました。

・土壌や気候、醸造方法の影響を受けやすい品種のため。同じシャルドネでも育った地域などによって味わいが変化します。そのため独自の個性的な風味は少ないものの、できあがるワインのスタイルは様々で多彩な表情を見せてくれます。

・フランスのブルゴーニュ地方は、「シャブリ」や世界最高峰の白ワインと称される「モンラッシュ」を筆頭に豊潤で深い香美のワインになり、シャンパーニュ地方では高級スパークリング・ワイン「シャンパーニュ」の主要品種になっています。

・一方、アメリカのカリフォルニア州やオーストラリアなどでは豊かな果実の香味が中心の、リッチでボリューム感のあるワインを生み出しています。

●ワインの印象

外観
緑がかったレモンイエロー

〇香り
レモンやライム、グレープフルーツなどの柑橘類、白桃、蜂蜜

味わい
スッキリとした酸味の切れ味が特徴のシャープな味わい

代表的な産地の栽培面積

①フランス47,000ha
②米国41,000ha
③オーストラリア21,000ha
④イタリア20,000ha
⑤チリ11,000ha)

※栽培面積は、「which winegrape varieties are grown where?」University of Adelaide Press by Kim Anderson and Signe Nelgen (2020)より

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