2回にわたり、港北ニュータウンの家の庭先や散歩道に咲くアジサイについて紹介しました。今回は紹介できなかった風景を追加するとともに、アジサイについてさらに深堀します。また、ガクアジサイやヤマアジサイの他の種類についても紹介します。
まるで円盤UFO
散歩道を歩くとアジサイが盛んに咲きこんもりとした丘のようになっている光景に出会います。数えきれないほどのガクアジサイ。まるで丘の上に群れを成して停まっている円盤UFOのようです。よく見ると、色が紫、青、白の3色を組み合わせた3種類の花。
多様な装飾花の色と花の付け方
同じガクアジサイでも、こんなに違うのかと思うほどに、装飾花や真花の色、形、付き方が異なるタイプがあります。違いを見て下さい。
最も多いのが、装飾花が薄紫で一重咲きのものです。中央部分の真花(花)は青ですが、雄しべは白なので、色のコントラストが鮮やかです。
人に例えると「爽やかな青年」の雰囲気です。
一方で、これは装飾花の色が赤紫です。中央の真花はまだ蕾のままのものが多く、ところどころ蕾が開花し、よく見ると小さな紫の花をつけています。
人に例えると「熟年に至る前の若い女性」の雰囲気です。
群れの中にあってこれから可憐に咲こうとする白い花。一重咲の装飾花が周りにあるたくさんある青の花房の傍らで静かに咲いています。
人に例えると「初々しい乙女」の雰囲気です。
そんな中でも白いガクの中に、紫の真花が咲き切っているガクアジサイです。先んじて咲いたこの花房は、初々しい花房の脇に頑張っていました。
人に例えると「人生経験を重ねた初老の淑女」の雰囲気です。
ガクアジサイの色、花の配置、咲き方の違いは多様
よく見てみると、装飾花(ガク)の色や真花の咲き具合だけでなく、装飾花のつき方やガクの重なり具合によって印象が異なってきます。
①装飾花の配置:円周方向に「均一」、「二枚のガクがペア」
②装飾花の咲き方:「一重」、「八重咲」
装飾花が中心の真花を取り囲むように均一に並んでいます。花の咲き方は一重です。真花は小さくて見にくいかもしれませんが4輪だけ花をつけています。これから一斉に咲き始めるのでしょう。装飾花はそれを見越すかのように真花とのスペースを取って咲いています。
装飾花は一重の花2つがペアになって真ん中の真花を四角状に取り囲んでいます。そして真花もほとんどが全て小さく咲いています。どちらも紫色で協調しています。
装飾花は2重に見えるのですが、よく見ると一重。花が重なっているほど元気で一つひとつの花びらが大きい。真花をしっかりと包み込んでまとめています。その真花は全て咲いてますが、雄しべの白色がアクセントをつけて綺麗です。
家の鉢植えガクアジサイです。装飾花の形は細長く、装飾花は3重の付き方で円周を均一に囲んでいます。
真花も濃い紫の小さな花で埋め尽くされています。
アジサイの色を決めるのはアントシアンだけではなかった。
紫陽花は土壌のpHが酸性の時は青色、中性の時は紫色、アルカリ性の時はピンク色になります。
アジサイの色を決めるのはアントシアンとアルミニウムの関係と言われています。アルミニウムと結合すると青色に、結合しないとピンク色になると。しかし、それだけではないようです。
実は、アジサイにはアントシアニン分子の他にクロロゲン酸というポリフェノールの一種もあります。アジサイの色を決めるのはさらにデルフィニジンという紫陽花自身が作る色素も関係していると言われています。このクロロゲン酸とアルミニウムとデルフィニジンが紫陽花の色を決める要素にもなっています。
この3つが揃って結合した時に青色に発光します。しかしアルミニウムが少ないと青色には発行しません。つまり、アルミニウムがある土壌が酸性の時です。
わかりにくいのですが、単純化していえば、次のようになります。
アントシアニンとクロロゲン酸が土壌から紫陽花に吸収されたアルミニウムと反応して錯体というのものを作ります。この錯体の色素がアルミニウムを吸収すれば(つまり酸性土壌のとき)青色に、吸収できなければ(アルカリ性土壌のとき)赤紫色~ピンク色に発色します。
ピンクのホンアジサイはこのように咲く
ピンクのホンアジサイが蕾から本咲になる過程を写真で見て下さい。
咲き始めは蕾が徐々に開花し花びらの先端が紫っぽいピンク色に染まってゆきます。その後、開花した花びらの中心部は白色に残しますが、花びらがピンクに染まっていきます。
そして残りの蕾も全て開花し、表面をピンクの花びらが埋め尽くします。
白と緑のアジサイ
青、紫、赤やピンクの色になる理由は土壌にあるのですが、それでは、白や緑はどうしてなんでしょうか?
写真のように花の色が白のホンアジサイと薄緑のホンアジサイが混在しています。
白色の紫陽花はアントシアニンとクロロゲン酸がないのです。
このため、アルミニウムがあるないにかかわらす白色になります。
また、緑色の原因は、実は病気。「緑葉病」という病気でファイトプラズマという病原菌が原因だそうです。
緑色の花ですが、咲き始めのため薄い緑になっていると思われますが、咲き方が進んだ際に白にならなければ残念ながら病気ということになります。
セイヨウアジサイの様々な種類
セイヨウアジサイは日本に自生していたガクアジサイが西洋で品種改良され、日本へ逆輸入されたものです。
別名はハイドランジア。逆輸入後にさらに品種改良されたものも多くあります。種類は数百にも及ぶといわれています。
花は大きめで手まり型に咲くものが多く、花色もさまざまですが、寒さに弱い品種です。
「ハイドランジア ラブストーリー」
ホワイトベースに縁取りフリンジが美しいハイドランジアです。デンマーク生まれの世スクロール社のハイドランジアです
「ハイドランジア ラブレター」
フレッシュなライムグリーンにピンクの縁取りフリンジが美しいハイドランジアです。これもデンマーク生まれのスクロール社のハイドランジアです
「ハイドランジア マジカル」
オランダのコルスター社が育成したバイカラーのハイドランジアです。ガクの先端にグリーンの縁取りが入ります。咲き始めから徐々に花色が変化し、アンティークカラーになるまで2~3カ月と長期間楽しめます。
「ハイドランジア サファリサーファーズ」
ウェーブのかかったガク片のガクアジサイです。花が終わったあとは秋色アジサイとしても楽しむことができます。色は白、紫、ピンクの3種類があります
「ハイドランジア クイーンズブラック」
塩原花園が改良して作った、ガクアジサイの品種です。ややすぼんだように花弁が咲いています。基本の色は濃い紫色をしているのですが、写真はアルカリ性になっているのでしょうか、赤色が出ています。
「ハイドランジア 舞姫」
特徴は、絞り模様が入っている絞り咲きです。西洋アジサイやヤマアジサイを含めても、絞り咲きのアジサイというのはとても少ないです。花はテマリ咲きで一枚の装飾花はやや大きめですが、4枚の花弁が完全には開かず、少しすぼまって咲きます。 花びらの色は写真のようにピンクに濃いピンク~赤紫の絞りが入ります。
「佳澄」
ライトブルーの優しい色あいで、華麗な八重咲きの最新品種です。加茂花菖蒲園が改良して作った、八重咲きのガクアジサイですが、咲き方は『ブーケ咲き』とも呼ばれています。
青~ピンクまで淡く鮮やかに発色するそうです。
「霧島の恵み」
ガクアジサイの「秋色アジサイ」です。