駅からほど近い、とある裏道。
ふと見上げると並木にはピンクや白の花の連なりが飛び込んできました。
街路樹たちが、華やかな花の束を付けています。
ゆっくりと歩いてゆくと、道の両脇で気ままな人たちがくつろぎながらおしゃべりに興じているような雰囲気。
夏の暑さにもかかわらず、毎日を楽しんでいるようです。
その空気感がジワリと伝わり、なぜかしら心地よい。
道行く人に元気と活力を与えてくれています。
ここはサルスベリの裏道です。
通りの長さ約150mにわたって、サルスベリが今を盛りと言わんばかりに、咲き乱れています。
大通りから一本入ったこの通りを通るのは、一方通行の自動車とゆっくりと歩く気ままな歩行者。
7月に入ると鮮やかなピンクの花の連なりが華やかでした。今は8月。長く華やかさが続いています。
コラム1 なぜ、サルスベリと呼ばれる?
サルスベリの樹皮は2㎜ほどで薄く、また、毎年剝がれ落ち表面が滑らかな幹となります。
猿も滑って落ちてしまうほどにツルツルしていることからサルスベリと名付けられました。
よく見ると、小花が群生して塊になっています。
とても華やか。存在感があります。
濃いピンクの花をつける樹の中に混ざって淡いピンクの花の樹。 アクセントになっています
コラム2 なぜ、「百日紅」と書く?
7~9月に次々と新しい枝が成長し100日間ほど花が新しい枝の先端に咲き続けることから「百日紅(ひゃくにちこう)」という名前がついたといわれています。
10年ほど前には、印象に残っていなかったこの裏道。
横浜・港北ニュータウンは今や多くの人が住むようになって活気があります。街の発展とともに風景も変わりました。
しかし、どの樹も街路樹として剪定され風はなく、伸びやかに枝を伸ばしています。
5m置きに植えられ、高さ4mほどに育った樹勢は自由奔放です。
コラム3 サルスベリの生まれはどこ?
サルスベリはミソハギ科・サルスベリ属の落葉高木です。中国南部が原産です。日本には江戸時代に渡来したといわれています。
花は蕾が次から次へと開花するので、一まとまりの花の束は息長そうです。
その名の通り、100日咲くということなので9月まで楽しめることでしょう。
そして、サルスベリは樹高2~10mほどに生長するそうなので、これからも毎年大きくなって目を楽しませてくれるでしょう。
コラム4 サルスベリの花の特徴は?
色はピンクや白、濃い紅紫、紫色があり、花びらは6枚で縮れており、3〜4センチほどの大きさで可憐。この小さな花がまとまって穂のように咲きます。
8月29日はサルスベリの日。
今年の夏は猛暑です。
晩夏のこの日は暦のうえでは残暑です。残暑は今や昔なのでしょうか?
コラム5 花言葉は?
〇「雄弁」「饒舌」
枝先に花が群生する姿が華やかでその花期の長く、よくしゃべる人を連想させることから、名付けられたとされています。また、枝をこすると葉や花が揺れ、盛んに話しているようにみえることから「雄弁」の花言葉がついたともいわれます。
〇「愛嬌」「不用意」
サルでも滑りそうなほどツルツルとした幹にちなんでつけられました。
〇「あなたを信じる」「潔白」
漢字名「百日紅」の由来にもなった朝鮮半島の伝説からついたとされています。
コラム6 朝鮮半島の伝説とは?
その昔、朝鮮半島のある海岸の村には毎年海の水難を鎮めるため、龍神への生け贄として若い娘を捧げる習慣がありました。あるとき、たまたま通りかかったその国の王子は娘を助けるために龍神を倒します。
娘を救い出すと、二人には、恋心が芽生えました。
しかし、王子はひとまず村を去らなければなりません。「百日後には必ず戻る」と言い置いて、王子は旅立っていきました。100日後、王子が再び村を訪れると、娘は病気で亡くなっていました。王子は愕然とし、大変悲しみました。
娘のお墓がある場所には一本の木が生え、赤い花を咲かせていました。その花は、愛しき人を今かと待つかのように、百日間、咲き続けたといいます。この言い伝えから「百日紅」と呼ばれ「あなたを信じる」といった花言葉が生まれたとされています。