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3月13日は、国際リースリングの日・・「リースリングを良く知る」シリーズ①

・・・リースリングを良く知る シリーズ①

 2023年春のワイン検定試験(ブロンズクラス)が3月15日に終了しました。

検定試験のテキストではブドウの種類28種類を紹介していますが、その中でもリースリングは主要なブドウ品種です。

 そこで、代表的な品種であるこの白ブドウ品種について、深堀してみました。
シリーズでリースリングについて述べます。
ワイン選びの際、グラスを傾けながら、ワイン検定の学習の参考にお読みください。

シリーズでの主な内容は次の通りです。

〇なぜ、「最も高貴なブドウ品種」と言われるのか?
〇豊かな酸味がリースリングの特徴
〇3/13は「国際リースリングの日」
〇栽培が難しくドイツが最大の栽培国
〇名前の由来は「花が流れる」から
〇リースリングの歴史

〇シャルドネとは親戚
〇シャルドネとの様々な違い
〇親としての様々な交配品種を生み出すリースリング
〇ワイン検定(ブロンズ)テキストのリースリング記載内容

〇リースリングは万能選手
〇世界で最も熟成期間が長くとれる長命なワイン
〇長期熟成ができる理由
〇「樽」熟成は控えめでマロラクテイック発酵も行わない。
〇ペトロール香(石油香)の由来
〇地域ごとのペトロール香

〇世界の産地
〇味わいは地域ごとにどう違う?
・モーゼル(ドイツ)
・ラインガウ(ドイツ)
・アルザス(フランス)
・イーデン・ヴァレー(オーストラリア)
・クレア・ヴァレー(オーストラリア)
・アメリカ

「最も高貴なブドウ品種」のリースリング

 リースリングはなぜ、最も高貴なブドウ品種」と言われるのでしょうか?
リースリングはしっかりとした酸味ミネラル、どのタイプでもバランスを失うことない上品な風味をもちます
しかも、栽培される地域によって全く異なる風味を生み出し、銘柄によっては長期の熟成能力も備える白ブドウとして、黒ブドウのカベルネ・ソーヴィニヨンに対比して評されています。
また、非常に耐寒性が強く、冷涼な地域で良さを発揮する品種です。ある程度収量を多くします。

 このように、寒さにとても強いところと、収量が上がっても品質が急激に落ちることが無く、高品質なワインを生み出します。
このことがリースリングを「最も高貴なブドウ品種」と言わしめている理由です。

リースリングの特徴

 香りは、レモンやライム、リンゴ、白桃といった爽やかで瑞々しく繊細でフルーツの香りや、アカシアやスイカズラ、菩提樹などの植物の香りも感じられます。

 また、概して果実味や花の香りよりも強いミネラル感が際立っています。
そして、何といっても豊かな酸味がリースリングの特徴です。
繊細でエレガントな味わいからボリュームのある幅広い味わい創り出されます。

3/13は「国際リースリングの日」

 このようなリースリングですが、記念日があります。3月13日はInternational Riesling Day (国際リースリングの日)です。

ドイツワイン協会がこの日をリースリングの誕生日として定めました。

 リースリングがドイツで資料に最も古く登場するのは1435年です。
ラインガウのクラウス・クライン・フィッシュ伯爵が建造中だった砦の隣に植えるリースリングのブドウの木を購入した際、領主カッツェンエルンボーゲン伯爵ヨハン4世に宛てた1435年3月13日付の請求書に記載があります。

 

国際リースリングの日

 この3月13日をリースリングの誕生日として記念日に定めたのです。

栽培が難しいリースリングはドイツが最大の栽培国

 リースリングは、現在世界各国でリースリングの栽培がされていますが、比較的生産量は少ない品種です。栽培が難しいためです。

 しかし、ドイツが最大の栽培国で、約24,000ヘクタールほどでリースリングが栽培され、国内では23%(※2019年O.I.V.データ)の栽培面積を占めています。
 これは、世界全体のリースリング栽培面積の約45パーセントに相当します。(2021年時点)

 

リースリングの名の由来は「花が流れる」から

 このように現在ドイツの最も重要なブドウ品種の一つであるリースリングは、ドイツのラインガウ地方が原産とされています。

 リースリングは3,000年前のローマ時代の「Argitis minor」というぶどうを起源に持ち、ラインガウの畑にもたらされたのは9世紀のことであるといわれています。
843年にフランク王国が分裂した際に、東フランク王国ではライン川沿いにアロマが豊かなブドウ品種が植えられました。
しかし、この品種には、開花時の降雨量によっては花が落ちてしまい、結実せず流れてしまうという特徴がありました。

 このことから「流れる」という意味を持つ「riesen」から「リースリング」と名付けられました。

 

リースリングの歴史

 リースリングは、16世紀頃には高品質なワインとしてドイツやアルザスでも知られるようになりました。

 18世紀になると、ドイツでは高品質のリースリングの苗木が大量に植樹され、ブドウの遅摘み法の発見貴腐ワインの醸造が始まります。
19世紀から20世紀前半には、ドイツリースリングはボルドーやブルゴーニュと並んで、高貴な白ブドウ品種として名声を得るようになりました。
近年では1990年代後半から「リースリング・ルネッサンス」と呼ばれるほど、世界的に人気を博するようになり、ドイツではリースリングの栽培が増えました。

 このような歩みを辿ったリースリングを誕生日としてお祝いしようと、ドイツワイン協会が3月13日を記念日として設定しました。
 2023年は588回目の誕生年を迎えました。

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