ヨーロッパのスパークリングワインの全体像を解説します。
フランス、イタリア、スペイン、ドイツのそれぞれのスパークリングワインの呼び方や代表的なものを述べます。また、微発泡ワインについても各国の呼び名が違います。
スパークリングワインの造り方の違いをあわせて述べます。
スパークリングワインとは・・・スパークリングワインと微発泡ワイン
スパークリングワインは、一般には3気圧以上のガス圧を持った発泡性ワインの総称です。スパークリングワインは各国でその呼び名が異っています。フランスの「シャンパーニュ」「クレマン」の他、イタリアでは「スプマンテ」、スペインでは「エスプモーソ」、ドイツでは「シャウムヴァイン」などです。
一方で、微発泡ワインとは、ガス気圧が1~2.5気圧ほどのセミスパークリングワインです。
スパークリングワインの呼び名
スパークリングワインの呼び名は各国で異なっています。その呼び名は以下のようになっています。
■フランス
◎ヴァン・ムスー(Vin Mousseux)
フランスではスパークリングワインの総称をヴァン・ムスーと呼びます。
※ヴァン・ムスーと同義語ですが、ラングドック・ルーション地方のリムー地区でしか使われないブランケット(Blanquette)という呼び名があります。バスク語で「炭酸ガスの入ったもの」という意味です。
〇シャンパーニュ(Champagne)
シャンパーニュ地方において、伝統方式を遵守して造る主に辛口のスパークリングワインです。スパークリングワインの代名詞にもなっていますが、他の地域や他の製法で造られたものは、シャンパーニュを名乗ることは禁じられています。
〇クレマン(Crémant)
シャンパーニュ地方以外の8つの地域で、瓶内二次発酵で造られる、主に辛口のスパークリングワインです。品質はシャンパンにも負けず、コストパーフォーマンスがいいスパークリングワインです。クレマン・ダルザス(アルザス地方)、クレマン・ド・ロワール(ロワール地方)、クレマン・ド・ボルドー(ボルドー地方)などがあります。
■イタリア
◎スプマンテ(Spumante)
イタリアのスパークリングの総称です。多くがシャルマー方式が採用されています。
〇プロセッコ(Prosecco)
主に北部ヴェネト州でグレーラ種を使う辛口・中辛口のスパークリングワインです。
密閉式タンク方式という製法が用いられることが多く、フレッシュな味わいが特長です。
〇アスティ(Asti)
イタリアの北部ピエモンテ州で、モスカート種というブドウを使って造られる甘口のスパークリングワインです。
通常のワインに比べアルコール度数が低めで飲みやすいスパークリングワインです。
〇フランチャコルタ(Franciacorta)
北部ロンバルディア州のフランチャコルタで造られる、主に辛口のスパークリングワインです。
伝統的な瓶内二次発酵で造られまする。
〇トレント(Trento)
トレンティーノ・アルト・アディジェ州の南部のトレンティーノ地方で造られる、主に辛口のスパークリングワインです。
伝統的な瓶内二次発酵で造られまする。
〇ランブルスコ(Lambrusco)
主にイタリアのエミリア・ロマーニャ州で造られる発泡ワインです。
ランブルスコはFrizzante(微発泡)が主流ですが、Spumante(発泡)タイプのものがあります。
■スペイン
◎エスプモーソ(Espumoso)
スペインのスパークリングワインの総称です。
〇カヴァ(Cava)
スペインのカタルーニャ州を中心に、伝統的なスパークリングワインの製法である瓶内二次発酵で造る、主に辛口スパークリングワインです
■ドイツ
◎シャウムヴァイン(Schaumwein)
ドイツのスパークリングワインの総称です。
〇ゼクト(Sekt)
生産年や生産地が異なるワインをブレンドして造る、高品質なスパークリングワインです。多様な種類があります。
微発泡ワインの呼び名
微発泡ワインとは、ガス気圧が1~2.5気圧ほどのセミスパークリングワイン(弱発泡性ワイン)です。
通常のスパークリングワインがガス気圧3気圧以上なので、微発泡ワインは比較的優しい泡で包み込んでくれる心地よい爽快感を楽しむことができます。
弾けるよう泡の感覚とともに、口の中を包み込んでくれるような柔らかいテイストで、各国でその名が次のように異なっています。。
〇フランス:ペティヤン(Pétillant)
〇イタリア:フリッツァンテ(Frizzante)
〇ドイツ :パールヴァイン(Perlwein)
〇スペイン:ヴィノ デ アグハ(Vino de Aguja)
ちなみに、ペティヤンは「パチパチ跳ねる」という意味です。
スパークリングワインの造り方
スパークリングワインの造り方は大きく分けて3つです。
主に二次発酵で発生する炭酸ガスを閉じ込めるに用いる容器と、発酵後発生する酵母の死骸である「澱」を取り除く作業の違いによって分けられます。
■トラディショナル方式/瓶内二次発酵/シャンパーニュ製法
シャンパーニュやクレマン、カバ、フランチャコルタなどの主に辛口スパークリングワインに採用されている製造法です。
スティルワインに酵母と糖分を加え瓶詰めし、二次発酵にて泡を発生させる方式です。
■シャルマ方式/タンク方式
大きなタンクで二次発酵を発生させる方式です。
トラディショナル方式よりも安価・短期間で製造できます。ブドウの香りが残るにも有効な製法です。
■田舎方式/リューラル方式/アンセトラル方式
発酵途中のワインを瓶に詰めて、残りの発酵を瓶内で継続させる方式です。
フランス・リムーなどで古くから採用されてきた製法で、ドイツではガス圧のペールヴァインで多く採用されています。
次回以降、上記の各国のスパークリングワインを詳しく解説します。