イタリアのスプマンテ地図

スプマンテ(イタリア)の全体像・・・スパークリングワイン・シリーズ⑤

 フランスのスパークリングワインと並んで、イタリアのスパークリングワインであるスプマンテは注目に値します。
 このイタリアのスパークリングワインにはプロセッコ、アスティ、フランチャコルタなどよく耳にする銘柄がありますが、その産地や種類はとても多く違いがよくわからない方も多いと思います。
そこで主要な銘柄の違いについてわかり易く解説したしたいと思います。
 今回から6回に分けてスプマンテを詳しく解説します。

第一回目はスプマンテの全体像です。

スプマンテとは

 イタリアは世界最大のスパークリング・ワイン生産国です。
 イタリアワイン協会(UIV)のデータによると、2021年に販売されたスパークリングワインは推定9億本で、新記録を樹立したそうです。
 特に、世界3大スパークリングにあげられるプロセッコ。2020年の生産本数は5. 5億本。フランスのシャンパーニュの2.5億本やスペインのカバの2億本を上回っているほどの規模です。2021年プロセッコの生産はさらに増え、6.2億本が生産されました。

主要な産地

 今回あげるのは5銘柄。フランチャコルタ、トレント、アスティ、プロセッコ、ランブルスコです。多くがイタリア北部の地域で、プロセッコ以外は限定された比較的限定された地区で製造されています。その点、プロセッコは広範囲での生産となっています。5銘柄の産地は以下の州です。
・フランチャコルタ:ロンバルディア州
・アスティ:ピエモント州
・プロセッコ:ヴェネト州とフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州、
・ランブルスコ:エミリア・ロマーニャ州とロンバルディア州
・トレント:トレンティーノ=アルトアディジェ州

イタリアのスプマンテ地図

ブドウ品種

 ブドウ品種は圧倒的に白ブドウを使用していますが、実に多種多様で、それぞれに土着品種を使用品種に定めています。
 特に、アスティ、プロセッコ、ランブルスコにその傾向が顕著です。一方でフランチャコルタ、トレントはシャンパーニュの主要品種であるシャルドネやピノ・ノワールを軸に製造しています。


スプマンテのブドウ種類(表)

その他の産地

 また、上記以外にもイタリア北部の以下の産地では、瓶内二次発酵の高品質なスプマンテが造られています。
・ロンバルディア州のオルトレポ・パヴェーゼ・メトード・クラシッコ
・ピエモント州のアルタ・ランガ
・ヴェネト州のレッシーニデュレロ
なお、イタリアは多種多様で、生産数量は少ないものの以下の中部~南部の以下の産地でもスプマンテが造られています。
・ラツィオ州のフラスカーティDOC
・マルケ州のヴェルデッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージDOC、ヴェルデッキオ ディ・マテリカDOC

・シチリア島のエトナDOCやアルカモDOC

スプマンテのその他の地区

ワインの製造方法

 イタリアでシャンパーニュやクレマンと同じ瓶内二次発酵方式で製造しているのは、フランチャコルタとトレントです。(その他上記の産地のものオルトレポ・パヴェーゼ・メトード・クラシッコなどもあります)しかし、スプマンテは大量に生産できる密閉式タンク方式(シャルマ方式)で製造する銘柄が圧倒的に多く、この点がフランスとの違いです。シャルマ方式ではフレッシュさを大事にしたいスプマンテ造りに力点が置かれているケースが多く、表のように熟成期間も短く大量生産が可能です。
 また、使用するブドウ品種も瓶内二次発酵方式の2銘柄ではシャンパーニュと同様の構成になっていますが、プロセッコ、アスティ、ランブルスコでは表のように独自のブドウ品種となっています。

プロセッコの製造・ワインの種類比較

味わい

 瓶内二次発酵方式の2銘柄ではシャンパーニュと同様に決め細かい泡による柔らかな口当たりの辛口が楽しめます。しかし、フランチャコルタがシャンパーニュと異なっています。香りは、概してシャンパーニュがドサージュと瓶内熟成特有のかんばしさがあるのに対し、フランチャコルタは、ブドウ本来の果実味や酸味、ミネラルの香りを大事にしたスパークリングワインです。
 プロセッコ、アスティ、ランブルスコもブドウの特性をワインの風味に素直に反映しています。そして、甘辛度やアルコール度にはそれぞれに特色があり多様です。例えば、アスティは甘口、プロセッコはほんのり甘いのもが多く、ランブルスコは多様です。
なお、ランブルスコは微発泡が多くアルコール度は甘いものほど低くなっています。この点はアスティも同様です。

スプマンテの味わい比較
イタリアのスプマンテ地図
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