フランスの地層

白亜紀(数千万前)の海底が良いブドウを育てた・・・シャンパンのそうだったのか!③

(シャンパーニュ地方の石灰質土壌)

 寒冷地ながらもブドウ栽培に恵まれたシャンパーニュ地方。
パリから145kmほど北東の地にあるこの地は、その土壌に恵まれてスパークリングワインの銘醸地になりました。

 シャンパーニュ地方の土壌は地下深くまで深くある白亜紀(1.2万年~6.5千年前)のチョーク質土壌(石灰質土壌)が多く見られます。白亜紀にはパリもシャンパーニュ地方もすべてが海で覆われていました。海水中の堆積物(岩石質の堆積物)が海の底に蓄積し、その高さは200メートルに達したということです。
 それから7000万年の後、フランスの北半分を占めるパリ盆地の中央部が堆積物の重みで地盤沈下を起こし、さまざまな岩石の層が次々と現れました。

 シャンパーニュ地方の丘陵地帯は、パリ盆地の北部と東部が隆起を起こした際にできたものです。 その隆起の一部は浸食作用で徐々になだらかになり、今日の美しく連なるゆるやかな丘陵に姿を変えました。このような経緯でシャンパーニュ地方の下層土は一面、白亜紀の厚い石灰岩で覆われているのです。

フランスの地層
フランスの地層

(石灰質土壌がブドウ栽培に優れている理由)

 シャンパーニュ地方の地表堆積物は75%が石灰質 で、白亜質土壌、泥灰土質土壌、石灰石を含みます。この種の地層はスポンジ状で水はけがよく、多湿を嫌うブドウの苗の成長と果実の成熟にきわめて有利な条件をもたらします。

 シャンパーニュ地方には34,000haものブドウ栽培地がありますが、代表的なモンターニュ・ド・ランス地区やブラン・ド・ブラン地区では大部分が石灰質土壌です。
この石灰質土壌とは、炭酸カルシウム(CaCO3など、炭酸塩を多く含んでいる石灰質の堆積土壌のことですが、次のような特徴があります。

 第一に、保水力や排水性に長けている点です。石灰質の土壌の科学的な構造は、乾燥した時期はしっかりと水分を保持しながらも、雨が降ったらしっかりと排水できる、というものでブドウ栽培には最高に適しています。保水性については1立方メートル当たり300~400ℓの水を貯める貯水池にもなっていて、最も乾燥の激しい夏でもブドウに十分な水分量を確保しますます。その上、白亜質土壌は毛管現象により保水するため、ブドウ樹への水分量が程よく抑制されます。これは、果実の酸味、糖分とワインのアロマを生み出す成分のバランスを取るのに役立ちます。
 次に、アルカリ度です。一般的な表土のpHが5.5〜6.0程度であるのに対し、石灰質層の土壌はpHが8を超えている場所もあるほどです。石灰質土壌はpHが高く、カルシウムが豊富であることから、栄養摂取に優れています。

 粘土質土壌で生まれたワインの風味が「力強い」一方で、石灰質で生まれたワインは、「繊細でテクスチャーがしっかりとしている」という譬えられ方をするように、石灰質土壌で栽培されたブドウからは良質なワインが造られます。
なお、石灰質の土壌といっても、「粘土石灰岩土壌」や「ケイ質の石灰岩土壌」など違いもあり、その性質や構造によりブドウの生育が変わってくるといわれています。

シャンパーニュ地方の位置
シャンパーニュ地方の位置
シャンパーニュ地方 地形図
シャンパーニュ地方 地形図

シャンパーニュのブドウ畑区画管理

 シャンパーニュ委員会によれば、シャンパーニュ地方のブドウ畑にはおよそ28万の区画があり、1万6,000を超えるブドウ栽培者が 働いています。ほとんどの区画は非常に小さく、平均12アール(1,200㎡)以下、つまりテニスコートほどの広さしかないとされています。
 ブドウ栽培者は栽培畑を区画(パーセル)として所有・管理していますが、そのパーセルは石灰質の違いなど土壌の違いや、傾斜(日照量)の違いがあります。
 ブドウ栽培者たちは、パーセルごとにその個性が活かせるようなブドウ造りをします。そして、ワインの作り手は、こうしてできたブドウから個性の強いワインを作り出したり、アッサンブラージュをしてバランスの取れたワインやコントラストの強いワインを作り出します。

【参考】シャンパーニュ地方のブドウ畑の地区・村・区画(パーセル)別の数字
・小地区数:20
・クリュ(村)数:320
・パーセル(区画)数:275,000

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